熊本県民テレビ
プロデューサー兼ディレクター
古庄 剛さん

2019.10.07 mon

「テレビ局を志望したい」と思ったキッカケ

元々は大学生の時、大分放送でカメラマンの補助のアルバイトをしていたんです。そこで番組を作るお手伝いをさせていただいて、番組制作に携わる楽しさを実感してこの世界に入りたいと志望しました。全国におよそ130局ある民放は、各地域に根ざし、それぞれの特色をもって放送しています。私は、故郷の熊本で当時、地域で唯一の夕方ワイド番組を放送している熊本県民テレビを志望しました。

はじめはとまどった「技術配属」 想像以上の充実感を体感

2002年に入社しましたが、会社では初めて一般職採用の技術配属でした。それまでは「技術職」として採用していたんですが、当時の社長が「今からデジタルの時代は機械のことを知っておかないと営業も制作もなにもできないから全員技術を学ばせる」という方針で一般職から技術へ配属されたんです。
いわゆる「技術」っていうのは勉強していなかったので戸惑いも多かったですが、2006年の地デジ放送開始に向けての準備が最盛期で、1年間で20個以上のシステム更新を担当しました。

企画が通り初めての番組制作

編成に異動してからは、放送番組の組み立てや、放送データの作成などを担当していました。そんな時、「若い人たちはどういう番組が作りたいのか」と、番組企画の社内募集があり、これからの地方ローカルが目指す地域番組「ココSmile」という企画を出しました。企画が通って、当時の社長に「お前が出したんだからお前がつくれ」と言われて、プロデューサーを務めました。当時は原稿もろくに書けないプロデューサーでした(笑)。その番組が今も続いている「サタデココ」として、10年以上放送を続けています。

「営業」という新しいステージへ

その後、営業に異動したのですが、初めはテレビ局らしくない仕事というか、僕が目指しているテレビマンというイメージとは遠いと思っていた営業現場、しかしそれは違いました。行ってみて感じたのは、テレビ局の営業っていうのは〝テレビ局にしかない職場〟であると。お客さんのニーズやヒントを得たものを番組作りに持って帰るというところもあるし、自分なりの表現の仕方を営業マンだからこそ実現できるような機会もあったりして、すごく大きな経験になりました。

様々な視点と働き方を経験して改めて制作の現場へ

今年4月からまた制作に戻りました。前に制作をやっていた時とは180度とまではいかないんですが、それに近いぐらいの発想の違いがあります。それまではできた作品を「どうだ!」って言えるような作品を作ることを目指していました。今は視聴者やスポンサーに「見てもらうようにはどうしたらいいか」「作ったものを観て、満足してもらえるにはどうすれば良いか」ということを考えるようになりました。

民放の地方ローカル局だからこその楽しさと醍醐味

民放テレビ局にはいろいろな部署がありますが、最終的には視聴者に見てもらわないといけないし、スポンサーに良いと思ってもらわないといけない。何よりローカル局として、地域に密着した熊本ならではの色を出さないといけない。それを「どう追求していくか」とやっていく楽しみがあります。
制作にいても技術にいても編成にいても、全社で取り組むイベントがある。それが地方ローカル局の一番の醍醐味だと思います。例えば24時間テレビだったりとか、うちで言うと「夢まちランド」っていうイベントだったりとか、〝普段の自分の役割を超えて1つの目的に向かって全社一丸となって走る〟機会があります。こんな時は、営業マンがステージ台本を作成したり、総務の人がタレントさんのアテンドをしたり、制作担当がスポンサーニーズに応えるアイデアを出したりと、まさに総動員で取り組みます。
さらに自分で判断する、しないといけない場面が多くなります。こういういった所が若い人たちの感覚や価値観というものを表現しやすい会社だと思います。

「若者たちのテレビ離れ」と言われる今だからこそ伝えたいこと

やっぱりテレビって「無限」です。ありふれた表現ですけど、正解がないので20代の人は20代に気に入ってもらえるような番組を作れると思うし、30代、40代、50代と、等身大の自分の感覚が、その世代の視聴者に共感してもらえる番組を作れるんだと思います。若手もベテランも、そのときの自分の意見を言える、そして聞いてくれる。これこそがテレビの世界には重要だと思っています。どの世代にも〝自分を表現できる場〟というか。テレビ放送は1人では出来ません。ひとつの発想から生まれた企画を様々な観点から検証し、社会的に必要な、そして視聴者の方に有益な情報を発信するという義務があると思います。企画を実現するために、多くの人が知恵を出し合い、助け合いながらチームで番組を制作していきます。
目標に向かって、チームで取り組み、挑む!この挑戦は、いつもドキドキしながら、ワクワクしながら楽しんでいます!!
また、表現したものに対して如実にリアクションが返ってくる世界なので、そういう楽しみってあると思います。もちろん、良いリアクションばかりではないですが(笑)

テレビマン古庄剛から生き方・働き方を模索している若者へメッセージ

ぜひ自分が「やりたい!」と思っていることを口に出して、それをやるだけのエネルギーを持ってほしいと思います。
「やり切る!」「やれる!」という熱意を持ってほしい!

プロフィール

ふるしょう・ごう 2002年4月、熊本県民テレビ入社、以来技術、編成、制作、営業など6部署を経験。2004年「水は今、人が守り育てるもの」、2005年「海の森」で日本民間放送連盟賞の統一キャンペーンスポット部門「優秀」を2年連続で受賞。2009年4月「ココSmile」、2011年4月「サタデココ」を立上げ、2012年10月、10万人を動員する一大局イベント「夢まちランド」の企画、立上げにかかわり、2017年「夢まちランド」リーダーを務める。LINE LIVEでの独自番組配信やタイのテレビ番組制作なども企画、制作。2019年8月、24時間テレビ42「愛は地球を救う」in熊本プロデューサー