番組制作者の声
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STV札幌テレビ放送
コンテンツ推進本部制作スポーツ局制作部
礒貝武尊さん
「生放送は楽しい、映像は面白い」
早朝の情報番組『どさんこワイド朝』を担当しています。毎朝0時に起きて1時に出社、なんか色々準備をして5時から生放送スタート、7時には1日の大半が終了しているという、究極の朝方生活を1年ほど続けています。番組では放送するニュースのチョイスや、企画コーナーの制作、最近は送出卓という生放送の旗艦部に座って番組全体のカメラ割りや進行の管理もやっています。自分の判断ミスや指先ひとつで簡単に放送事故(不体裁)を起こせる責任重大なポジションで、2時間の生放送中は常時緊張状態。6時58分の放送終了と同時にどっと疲れて眠気に襲われる……そんな業務ですが、生放送番組に携わるなら絶対にできたほうがいいポジションなのは確か。反省ばかりではありますが結構楽しくやっています。この適度なヒリヒリ感はきっと他の仕事では味わえないと思います。
テレビ局の就活画像ってこういうサブ使いがちですよね
そもそも生放送や中継が楽しくてこの業界を志しました。大学生の頃やっていたテレビ局でのアルバイトの経験です。ニュースや中継のフロアディレクターとスポーツ番組のADを3年くらいやりました。中継先のフロアが私1人の現場もよくありました。今思うととんでもない責任を背負わされてる気がしますが、めちゃくちゃいい経験。一瞬の失敗がすぐ放送される緊張感と、終わった瞬間の安堵感の落差が気持ち良いな〜って思いながらバイトをして、他にやりたいこともなかったのでこの業界に入ることにしました。今でも生放送に向けてバタバタ作業して、間に合わせてホッとするのは楽しいし気持ちいいです。最近は慣れてきてバタバタすることも減ってきましたが。
民放連の採用ページまで見にきているあなたですから、相当テレビ・ラジオで働きたい人なのでしょう。嬉しい限りです。でも、だとしたら本来我々がやらないといけないことはこのページに来てない人にもこの仕事の魅力を伝えることだと思うんですが、ここは素直にこの文章を読んでいるあなたに「やっぱり自分が志している業界はきっと楽しいぞ」と思ってもらえるようなことを書こうと思います。もし周りに進路に迷っている人がいたら、「ここに面白そうなこと書いてあるぞ」と広めて囲い込んでください。
入社してから結構好き勝手してます。よほどじゃなければ好き勝手しても怒られない会社です。最初の4年間は報道部。最初は嫌な取材もありましたが慣れました。北海道らしくヒグマの取材にのめり込んで番組を作り、狩猟免許まで取ってしまったり、鉄道好きが高じてJR北海道の取材をたくさんさせてもらったり。制作部に移ってからも、生活情報のふりをしながら新幹線のトンネル工事現場から生中継をしたり、好きな旅行を特集にして放送したり。自分のやりたいことと社会が求めていることをチューニングしつつ、会社に貢献していると言い張れば自分の欲望を叶えさせてくれます。もちろんやりたいことをできるのは年に数回あれば良い方ですが、こんなに楽しい仕事はないと思います。他を知りませんけど。
テレビとは映像です。そこに情報と感動が乗ればもっと良いそうです。入社直後から「画は?」と毎日言われ続け、すぐ映像第一の思考になりました。テレビ局として当たり前ですが、映像へのこだわりが強い会社だと思います。情報は会社への信頼で得られる部分も大きいですが、映像は努力しないと伴いません。この努力を惜しまない人が多い会社だと思いますし、このこだわりが仕事の面白みだと思います。そうじゃない人は取るに足らないです。入社7年目になりますが、映像でどう工夫するかを考えない日はありません。考えれば考えるほど映像が好きになり、いろいろなことを試したくなるし、試したらフィードバックをくれる会社です。
私は北海道出身ではありません。東京で生まれ育ち、冷涼な気候が好きで縁もゆかりもない北海道に来ました。めちゃくちゃ広い土地と、夏と冬で違う景色を見せる場所がたくさんあります。テレビ的に言えば撮れる映像が夏の緑と冬の雪とで倍あると思っていいくらいです。北海道というブランドに助けられながら、北海道という土地の魅力を最前線で知って撮影し、それを全国・全世界に発信する仕事って結構面白いと思います。やりたい仕事という軸もあると思いますが、住みたい街という軸もあって良いと思います。
あなたはテレビが好きですか?私はその答えに興味はないです。少なくともテレビにしか興味がない人は、テレビコンテンツを作りようがないと思います。なんでも好きなものがある人が私は好きです。お笑いとか歌みたいなコンテンツになりやすそうな分野でも、盆栽やセパタクローなどあまりテレビで見ないものでも、好きなものがありその魅力を語れる人が魅力的です。好きなことが自分の作る番組に活かされることは多くないかもしれませんが、色々な人の「好き」を正面から受け止めて一緒に面白がれる、そんな人が作るコンテンツを私は見たいです。「これがやりたい」もとても大切ですが、知らない分野でも「聞いてみたら面白かった!」と無邪気に楽しめる視野の広さも大切です。
最後に、私が思う地方局の面白さは視聴者との距離が近いことです。東京や大阪の局の感覚は知りませんが、少なくとも私は視聴者=お客様と思い、取材先はすべてお客様だと思っています。取材した人から「いつも見てるよ」「こんな反響があったよ」とお声をいただけるのも、地域に根ざした放送局だからだと思います。地域にさまざまな産業や仕事がある中で、地方局は放送と広報という「役割」を与えられています。その役割を果たすために地域で頑張る人・暮らす人に各放送局を利用してもらい、我々はその活動を広めることで応援する。そしてその魅力を映像という武器で表現する。そのために日本には放送局があると信じています。自分がやりたいことが地域活性化に繋がれば、こんなに素敵で面白い仕事はないと思います。
プロフィール
文学部卒業。2018年に札幌テレビ放送入社。
報道部で警察記者、運輸・航空キャップを担当後、制作部で『どさんこワイド179』、『どさんこワイド朝』のディレクター。
晴れた日が好き。