番組制作者の声

テレビ神奈川
編成局 制作二部
杉内裕介さん

2024.11.11 mon

― 放送業界を志望したきっかけ

全国大会って響き、憧れません?私は高校頭まで部活でサッカーをしていましたが一番良くて県大会ベスト4止まり。そんなに頑張ってもダメなら競技人口的に競争率の低そうなニッチな分野で戦った方が良くない!?そんな邪な考えで、なんとなくゆるそうで近年全国大会出場実績があった「放送部」という部活に高校で入部しました。

「放送部」はアナウンスや朗読の技術を競う個人戦とドラマやドキュメンタリー番組を制作する団体戦で主に競うマイナー部活です。後々知ることになるのですが、当時私の出身の福島県は放送部の激戦区!全国大会の上位は福島県勢が揃い踏み…結果私が所属していた3年間は1回も全国大会には出場できませんでした…完全に甘くみてました!全国の放送部の皆さん大変申し訳ございません!

そんな少しかじってみたら楽しかった「放送」というジャンルを続けてみたい!いつかリベンジしてみたい!そんな思いでテレビ業界を目指しました。

番組収録サブにて

― テレビ神奈川に入社して

他局に負けない楽しい番組を作るぞ!そんな思いでキラキラした社会人生活を想像していた矢先…!入社直前に新型コロナウイルスが流行、入社後すぐに自宅待機となりました。

その後配属された部署は編成部。内勤で運行デスクを担当しました。番組素材をどの放送枠で放送するか決めたり、CMを番組のどこで何分放送するか制作と営業の間に入って調整したり、放送素材を他局に伝送したり、視聴者の電話に対応したり…という常にパソコンとの睨めっこや責任が伴う業務。コロナ禍の鬱屈とした空気も相まってその2年間はまさに“筋トレ”でした。

その後4年目の夏に制作二部に異動し音楽番組担当へ。現在は番組を制作する立場ですが、当時の経験から番組が放送されるまでの間に裏でどのようなシステムでどんな人達が関わっていて、放送はどのように視聴者に届くか…というのが一連でわかり、今に活きています!

― 制作に異動して感じること

テレビ神奈川は「水戸ホーリーホック」に似ていると思います。突然何を言っているんだ!と思われていると思いますが、個人的に番組制作している時に最近よく感じます。

水戸ホーリーホックとは茨城県を拠点にするサッカーチームです。
茨城県といえば“常勝軍団“「鹿島アントラーズ」がいるのですが、水戸はその1つ下のカテゴリーのJ2リーグ一筋25年。潤沢な資金力があるわけではない地方市民クラブですが、人材の育成に非常に定評があります。「若手の育成とベテランの再生」という考えを大事にしているチームで、毎年のようにJ1に選手を送り出しており、近年は前田大然選手、小川航基選手・藤尾翔太選手といった日本代表が水戸で飛躍のきっかけを掴んでいます。

テレビ神奈川は誕生時より音楽と共に歩んできた局です。キー局の放送エリア内で開局し、その中で生き残るために、ミュージックビデオやライブ映像をフル尺でお送りしたり、キー局が扱わないようなロックシーンをいち早く取り入れたり、数々の音楽ライブ番組を制作し続けたりしてきました。そんな先輩達の挑戦は「アーカイブ映像」という形で局の財産になっています。名立たるアーティストの新人時代や、お亡くなりになられた方々の貴重な映像をたくさん保有しています。2年前のテレビ神奈川50周年という節目のタイミングではそのアーカイブ映像を放送。約7時間に及ぶ特別番組「ライブ帝国ザ・ファイナル」は同年4月のギャラクシー賞の月間賞と年間の奨励賞を受賞しました。

そんな制作費やマンパワーでは他局や配信PFには敵いませんが、これから羽ばたこうとするアーティスト・タレントの皆さんと新人時代から一緒に歩んでいこうというマインドがテレビ神奈川の強みであり面白さだと思います。あと、弊社はキー局等と比べて圧倒的にお金がなくて従業員数も少ないので、社員一人一人が自然と何でも屋さんになっていきます笑
そんな私もカメラを回して編集をした翌日は自社番組のテーマソングのセールスをしたり、その翌日は音楽出版社やイベンターのような動きをしたり…とポリバレントな選手を演じて(?)おります。そこに「水戸ホーリーホック」を重ねてしまうのは、単に私の中に青い血が流れているからかもしれません笑

― 制作として働くモチベーション

今私が担当している音楽情報バラエティ「関内デビル」(毎週月〜金曜日夜11時〜放送)ではかつてDISH//がMCを担当し、レギュラーコーナーをMrs. GREEN APPLEや新しい学校のリーダーズが担当していました。さらにその前身の番組「saku saku」ではMCを担当していた木村カエラさんが番組を経て歌手デビュー。今年2024年にデビュー20周年を迎えました。
そんなかつてご一緒したタレントやアーティストが気軽に遊びに帰って来てもらえるような場所を守り続けると同時に、これから駆け上がっていく皆さんと瞬間ではなく長くお付き合いを続けていく…そうやって作った番組やイベントが神奈川・横浜を起点にどこかで誰かを笑顔にするかもしれない…そんな思いで今日も楽しく仕事をしています。

番組収録スタジオにて

― メディアを目指す皆さんへ

テレビや制作の仕事を目指していたかつての自分は、自分がやっていけるか自信が持てずに、大学はメディア論を専攻・メディア業界の資格の勉強もしていました。しかし今ではメディアを目指す上で業界について「あるもの」を持っていれば必要以上に無理に勉強する必要はないと個人的に思います。
それはジャンル問わず、「〇〇が日本一好き!」と言える何かだと思います!私の働く制作現場の周りでも「これがめちゃくちゃ好き」という人が多いですし、好きが突き抜ければインプットの量で勝るので、天性の才能ある人にも絶対に負けないと思いますし、何より楽しく仕事できること間違いなしです!私の会社の人間も好きが転じて、地上波発のラクロス専門番組やサーフトリップ番組、某人気アイドルの冠番組等々、自分でスポンサーを探してきてプロデュースし楽しんでいる人間が何人もいます。
なので学生時代はたくさん「好き」に打ち込んで、沼って、のめり込んでください!!

番組打合せ

プロフィール

1997年 福島県二本松市出身、人文学部卒業後、2020年にテレビ神奈川に入社
2020年 編成局 編成部 運行デスク担当
2022年 編成局 編成部 番販・ライツ・製作委員会担当
2023年 編成局 制作二部 音楽番組担当