番組制作者の声

東北放送
報道制作局テレビ制作部
星 竜輔さん

2024.12.6 fri

― 放送局に入社したきっかけ

中学生の時に二週間ほど新聞社でワークショップをする機会があり、その頃から報道機関で働くことには憧れがありました。元々みんなで一つの目標に向かったり、自分のアイディアを形にしていったりすることが好きだったんです。
大学生の時には放送局で情報番組のアルバイトをしていたのですが、「多くの人が一つのものに向かってパワーを注いでいる」という現場を目の当たりにした経験も大きかったと思います。就職活動ではITや広告等も受けていましたが、「0から1を作ることができる仕事」に改めて惹かれ、放送局に入社することを決めました。

― 1年目の自分

実は、元々は営業希望でした。放送局に入社する人間としては珍しいですよね。どちらかというと「テレビって面白いんだよ」とか「番組でこんなことができます!」という提案をして会社に貢献していくのを軸に働いていきたいなって思っていました。テレビ制作部に配属と聞かされたときはびっくりしましたが、それからは新しい発見の連続で毎日刺激的な日々でした。1年目から現場に出て沢山の経験を積ませてもらい、毎日時間の経過が早かったです。取材やロケに行って、編集して、デスクワークして…。とにかくテレビがどう作られていくかを学んでいく毎日でした。先輩方についていくのに必死でしたね。

カメラマンと打合せ中

― 2年目の今

去年の自分より引き出しが多い放送人になりたいと思っています。現場で沢山の人と仕事をしてきました。その中でも輝いている人って圧倒的な行動力と多くのインプットを持ち合わせているんですよね。先輩方はとにかく情報感度が高くて、移動中も常にアンテナを張っているというか。これはなんだろうと思う看板があったらすぐに調べていたり。制作現場の人だけでなく、営業担当の方やタレントのマネージャーさん、広告会社の方からも面白いアイディアがポンポン出てきます。誰もが想像もしていないアイディアを出すには、やっぱり色んなところに行き、色んな人と会話することが大事だなと感じながら仕事をしています。会社員なので異動等があるため、いつまで現場にいることができるかはわかりませんが、それでも自分にしか出せないコンテンツが作れるようになるために、日常生活でも常にアンテナを張るように意識しています。

― 担当しているテレビ・バラエティ番組「サンドのぼんやり~ぬTV」について

2008年の放送開始以来続いている番組で、サンドウィッチマンのお二人とともに宮城県内至る所を回っています。「ぼんやり~ぬ」というのは伊達さんが自身のブログで深夜に何の気なく書いた言葉なんです(笑)。宮城県内の珍しい人・食などを探したり、東日本大震災の被災地を巡ったりしています。 今年の7月には自分自身初の海外ロケも経験しました!10年以上続いている番組で、沢山の人の思いが詰まっている番組です。
その番組のディレクターとして、制作に携わっています。ロケハンをしてロケ地を決め、構成を考えて作家さん、プロデューサーと相談し番組を形にしていきます。自分が担当の際は実際にロケを仕切り、サブの際はデジカメやGoProを回しています。ロケ終わりのロケバスでの反省会からは学ぶことばかりです。

担当番組「サンドのぼんやり~ぬTV」パネル前で

― タレントさんとのロケでの学び

ローカル局で、かつ局員でとなると、なかなかタレントさんとロケをする機会がないんです。単発の特番やぼんやり~ぬTVでタレントさんとお仕事をする際に感じるのは、面白いポイントをこぼさないというプロ意識の高さですね。例えば我々が仕込んだロケ先で撮れ高が微妙な時に、一つでも多く面白さを出そうと小ボケをしてくださったり。小さなポイントでも見逃さなかったり。自信をもって自然体でロケしてもらえるよう、仕込むネタの内容に気を付けています。
サンドさんはお二人とも本当に宮城県に詳しくて(笑)。自分は高校までずっと野球ばかりしていて、大学は東京だったので宮城県のことにあまり詳しくなかったんです。お二人に負けないよう日々勉強する毎日です。今年の番組ロケでとある豆腐店、地元の人のみぞ知るという小さなお店に行ったんですけど、お二人が食べたことないくらい美味しい美味しいと喜んでいて。翌週のラジオ番組やブログなんかにも載せていてロケ終わりに、よく見つけたねと言ってくださったんです。何回もその街に足を運んだ甲斐があったなと思いましたね。多くの先輩が「ディレクターたるもの足で稼いでなんぼ」と言っていて、その通りだなと肌で感じました。

― ローカル放送局で働く魅力

ビジネスとしてだけではなく地域のために働くことができる点です。地域創生や地域の課題に目を向けながら発信していくことは、ローカル局である我々にしかできないことです。私自身仙台市出身ということがあり、特に震災関連の取材は私たちが続けていかなくてはならない使命だと感じています。東日本大震災から13年以上が経ちましたが、復興に終わりはありません。同じ悲劇を起こさないよう伝え続けること。また、災害が発生した際の被害を最小限にしていくために、課題を発信し続けることは私たちにしかできない使命だと感じています。

― 放送局への就職を目指している学生の皆さんへ

おそらくこのページを見ている方は、少なからず放送局に興味があると思います。どの会社に入ろうか、どの業界に行こうか、悩んでいる人もいると思います。自分もそうでした。そんな方にこそ一度この業界に入って欲しいです。この業界でしかできない仕事があるし、この業界にいないと会うことのできない人もいます。また、自分の局、他局の友人、全国の系列の人もそうですが個性が強く、面白い人が本当に多いです!
ネット上のコンテンツ制作に興味がある人も多いと思います。そんな人こそ一度テレビ局に入社してほしいです。業界の垣根がなくなっていくこれからだからこそ、映像制作のスキルを身につけるという点で、長い年月から培われたノウハウを持つ放送局はこれ以上ない環境だと思います。だって作る側、出る側、見ている側すべてが一流ですから。つらい経験だってもちろんあります。でもそれ以上に楽しいですよ。普通の人が見たことないこと、普通の人が入れないところ、普通の人がなかなか会えない人。これらを経験したい人は放送局にぜひ。

フロアディレクターとしての1コマ

プロフィール

2000年 宮城県仙台市出身
2023年 東北放送に入社、報道制作局テレビ制作部に配属、「ひるまでウォッチン!」「小島よしおのまちぶらサイエンス」ほか担当
2024年 「サンドのぼんやり~ぬTV」担当