番組制作者の声
- TOP
- 番組制作者からのメッセージ
- 文化放送 制作部 神谷友里杏さん
文化放送
制作部
神谷 友里杏さん
― ラジオ局を目指したきっかけ
学生時代はずっと部活やサークル活動でミュージカルに打ち込んでいました。大学時代は特に本格的な団体に所属しており、平日は授業後に夜10時まで歌って踊って、休日は朝から晩まで…という生活を送っていました。役者として舞台に立つことをメインとしながら、ある時にはショーの企画演出を担当したり、本番期間の運営周りを統括したり、様々な角度から舞台というものに携わってきました。今思うと、あれほどミュージカルに打ち込んでいたのも、「人を楽しませたい」という強い信念、人生のミッションのようなものが当時の自分の中で既に形成されていたのかもしれません。
そんなミュージカル三昧の生活を送る中、就職活動の時期になり、同時に新型コロナウイルスも流行し始めました。正直なところ、当時の私の頭の中は、日頃の舞台や歌のことでいっぱいだったので、憧れの企業やここに絶対に入りたい!などという志はなく…(笑)かといってこのまま役者の道に進むのも、私には少し挑戦的すぎるなと思い、いったん腰を据えて就活のことを考え始めることにしました。
自分の“好き”を仕事にしたいという思いは元々強かったのですが、コロナ禍の当時、よく「不要不急」という言葉を耳にすることがありました。そのワードを聞くたびに、世の中の端に追いやられていくエンターテインメントを見て、素人ながらに強くフラストレーションを感じたことを覚えています。その時に、「ああ、私はこの『不要不急』の(今からしたら“だった”)エンタメが何よりも大切で、やっぱり人を楽しませることがしたいんだ」、そう確信しました。コロナ禍だったからこそ、自分の根本的な価値観、ミッションを確固たるものにできた、そういう意味ではこの時期に就活時期が当たってしまった私はラッキーだったと言えるかもしれません。
そしてメディアや舞台の世界を中心に就活を進めることにしましたが、実はラジオというものは全然親しみのないものでした。こんなことを言ったら会社に叱られてしまうかもしれませんが、就活を始めた21歳まで、一度もラジオ番組をしっかりと聞いたことがありませんでした(笑)。そんな私が、これも時のいたずらでしょうか、コロナ禍になって、あるお笑い芸人さんにハマり、その方たちのラジオ番組に出会いました。豪華なミュージカルの世界とは違い、シンプルだけれどなぜか心に染み入る、彼らの声や息遣いを近くに感じて安心する、ラジオの持つそんな魅力に引き寄せられました。さらに、放送の良いところとして、電波を通じて多くの人に届けられる。そんないろいろな観点から、「ラジオって面白い!」と、文化放送の採用エントリーを決意しました。
― ラジオ局に入って
メインでは、生放送のワイド番組のディレクターを務めています。進行表(Qシート)の作成、台本のチェック、オンエア楽曲の選定などの事前準備や生放送でのディレクション(演出、タイムキープ、CMの送出)が主な仕事です。毎週のゲストのブッキングや企画の立案など、担当の曜日に関しては大半のことを一任してもらっています。 収録番組に関しては、ディレクション業務に加えて編集作業も自分で行うことが多いです。こう考えると、一度にいろんなジャンルのお仕事をやらせてもらっているので、改めて幸せだなと感じます。
― ラジオ局員としての醍醐味
一番のやりがいは、学生時代からずっと自分の価値観の“幹”として持ち続けている「人を楽しませる」仕事ができているということだと思います。放送中にリスナーから届くメールなどのお便りや、Xでのポストを見ると、電波を通じて今一緒に楽しい時間が過ごせているんだ、ということを実感できて嬉しいです。
また、仕事を通じ、ずっと“音楽”と触れ合っていられることが、音楽好きの私としては最高にやりがいのある時間だと感じています。
オンエア楽曲のチョイスにはじまり、このトークのBGMはどれを使おう…など。自分のこだわりやセンスを表現し続けられる、その機会を与えてもらっていることをすごく幸せに思います。
そして、一人でスナックに通い歌謡曲を熱唱するくらいの昭和歌謡ファンである身としては、昔からあるラジオという存在自体、よく流れる懐かしの歌謡曲、往年のベテランパーソナリティさんの声、どれも何か心をくすぐるものがあり、これもまたラジオ局員としての醍醐味と感じています。
― 苦労したこと
苦労したことで言うと、まだまだチャレンジングなことも多く苦労ばかり?!なのですが…(笑)イベント公開収録を担当した時は、通常の放送と違い、規模も大きく、関わる方の人数も多かったので、タスクをさばくのにだいぶ苦労しました。
ラジオの在り方も変化し続けているので、電波を飛び越えた事業的なことにも柔軟に対応できるようになりたいと思っています。
― 就活生の皆さんへ
就職活動の時点で、「私はこれがやりたい!」「このビジョンを成し遂げるには絶対にここで働く必要があるんだ!」と具体的な意思をもっている方もいるかと思いますし、それはそれでとても素敵なことだと思います。
ただ、なんとなく将来にモヤモヤしたまま就職活動の波に流されかけてしまって焦ってしまう人もいるかもしれません。(就活当初の私がそうでした)
もしそう思っているのなら、それに苦しまないでほしい、それが私からのメッセージです。
世の中いろんな選択肢がある中で、就活という限られた時間の中で進路を明確にするなんてハードルの高いことですし、実際、就職した先でどんな業務ができるかなんて入ってみないと分からない。同じ職場でも部署やチーム、自分のその時のコンディションによって感じることも違うはずです。
だとしても、就活中、自分の“好き”だけは忘れない。自分が何に感動出来て、時間を忘れるほど一生懸命になれるのか、それだけをぎゅっと握りしめて信じていれば、どんなにモヤモヤしても不安でも、しっかり自分の然るべき場所にたどり着けるはずです。応援しています。
プロフィール
2022年に文化放送に入社。制作部に配属。
主にワイド番組でディレクターを務めています。