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広島ホームテレビ
報道制作局 報道部
斉藤俊幸さん
― テレビ局を目指したきっかけ
大学ではスポーツ医科学を専門に身体のメカニズムなどについて学んでいました。もともと高校時代から志していた分野でもありこのまま進学して研究を…と思っていた時期もありましたが、それまでの人生を振り返る中でメディア、そのなかでも特にテレビから影響を受けることが多かったことに気づき、地元広島のテレビ局を受けることにしました。やはりスポーツへの思いもあり、メディアという立場から地元で盛んな野球やサッカー、陸上などのスポーツに携わりたいという思いは強くありました。
― “地方局”である広島ホームテレビに入社した理由
この業界を目指している人からしたら珍しいと思いますが、私は東京のいわゆるキー局を目指して就活していたわけではありません。メディア業界ではない一般企業も受けながら
地元広島のテレビ局も受けていました。私が入社した2021年度の内定者は私1人だけ。もちろん不安もありましたが、それ以上に「唯一の内定者」としてかけられている期待などを強く感じ、広島ホームテレビに入社することになりました。入社後は報道部に配属され、1年目は県警担当として、そして3年目からは広島市政の担当記者として日々取材に向かっています。
― ディレクター・記者として「ドキュメンタリー番組」を担当
3年目になったばかりの春、入社前に一つの目標であった全国放送のドキュメンタリー番組をディレクターとして制作させてもらいました。7年ぶりの日本開催となったG7広島サミットを「首脳たちの原爆資料館訪問」という1つの出来事を軸に、独自の視点で検証した番組です。ドキュメンタリーでは取材していても普段のニュースでは伝えきれない表情や雰囲気を伝えられます。地元の人たちが感じた「悔しさ」や「違和感」など、地域に根差したメディアだからこそできる取材や視点を意識しました。後に日本民間放送連盟賞やギャラクシー賞など様々な大きな賞をいただいたほか、他メディアでも取り上げていただき、制作しているときは頭を悩ませながらも夜な夜な「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤していた日々が報われたような思いでした。そして地方発の番組が評価をいただけたことは、地方局としての存在価値をあらためて実感する経験にもなりました。
― 入社後に感じた意外なギャップ
入社して驚いたのは裁量権の大きさです。積極的に若手の意見や挑戦を求められるため、自分の意思次第では大きな仕事を任せてもらうことができます。任されたネタをどのように伝えるかは基本的には自分次第です。特に私にとっては、当時2年目から3年目に上がる時期に、全国放送のドキュメンタリーを任せてもらえたことは自信にもなりました。責任感は重大ですが、社会からの反響もあるためやりがいも大きな仕事だと感じています。
― メディアとしてのテレビの強み
テレビの強みは、文字通り映像と音声で伝えられることだと思います。人の行動と言葉の間にある余白を、表情や雰囲気として伝えられるのは、テレビならではだと思います。私たちはよく「強い画」という言葉を使いますが、“その瞬間”をとらえた映像はどんな文字情報よりも強く訴えかけることができます。ただ逆にその瞬間がなければ効果的に伝えることはできず、同時に弱みでもあります。カメラなしだと取材に応じてくれていた人でも、カメラがあるとわかると取材に応じてくれないというケースも数多くあります。現場へ取材に出るときにはどうすれば“その一瞬”に立ち会うことができるかを考えて取材をしています。
― メディアを目指す皆さんへ
今は学生時代だからこそできる時間の使い方や経験をできるだけ幅広くするべきだと思います。そして大切なのは入ってから、取材や番組制作にどれだけの吸収力をもって臨めるかどうかだと思います。メディアの仕事をしていると、他の仕事をしていると到底会うことのない人や場面に立ち会うことができます。そこで感じたことや知ったことを、視聴者の代わりとなって、いかにわかりやすく伝えることができるか、大変なこともありますが、やりがいのある仕事だと思います。
プロフィール
広島市出身、スポーツ科学部スポーツ医学科を卒業。
2021年に広島ホームテレビに入社し、報道部に配属。
警察担当を経て、広島市政の担当記者としてANN系列「テレメンタリー」などのドキュメンタリー番組や夕方ローカル「ピタニュー」などを担当