番組制作者の声

中京テレビ放送
コンテンツ制作局(東京駐在)
鳥居大雅さん

2024.12.20 fri

― 就活はテレビ局オンリー
  『テレビ局1択』

生粋のお笑い狂であった父の影響をモロに享受し、幼稚園の時には「ごっつええ感じ」「ガキの使い」を通過儀礼的に済ませているほどのテレビっ子、バラエティっ子でした。
そして、中学2年生の時にふとテレビで目にしたTBS「クイズ☆タレント名鑑」の「芸能人!検索ワード連想クイズ!」が拍車をかけ、自分もディレクターとなってこういう番組を作りたいと強く感じるようになりました。
その為微塵の悩みもなく、気づけばエントリーシートを局に送っていたのはさもありなんという感じでした。

― 中京テレビという
  『選択』

テレビで“笑えるバラエティ番組を作りたい”という1点突破だったため、「PS純金」「オドぜひ」「太田上田」とバラエティ色が強く、なおかつ地元の局である中京テレビ放送(中京テレビ)に入社を決めました。

― 内から見る「オモウマい店」の
  『凄み』

無事念願の制作部に配属されたタイミングで、「オモウマい店」が全国レギュラーで始まることが決定し、ローカル局にも関わらず、初期配属が全国ゴールデンの番組でした。
スタッフ一同経験のない大舞台に、不安・重圧さまざまな感情がるつぼのごとく入り混じる中、全員の意識内にあったのは“ローカル魂で全国に爪痕を残す1時間を作ろう”という圧倒的バイタリティでした。
そんな中、プロデューサー・総合演出が掲げた“スタッフ全ディレクター化”。
総勢40人超のスタッフが、年次やディレクターもアシスタントディレクターも関係なく、皆が最前線でプレイヤーとなり、カメラを持ち、店主の方を取材しました。
この選択は、テレビ制作に不慣れな若手スタッフが意図しないリアルな表情・現象を撮る可能性があるという狙いもありました。
社運を懸けた一大プロジェクトということもあり、普通だったら頭では分かっていても怖くて取らない選択でしたが、結果として若手ベテラン渾然一体となり、中京テレビにしか作れない今現在のオモウマい店の形が完成しました。
僕自身も2年目なりたての5月には、VTR制作のデビューをさせてもらい、翌年2月には群馬県「せっちゃんうどん」さんのVTRを1人で1時間担当し、成長に繋がる大きな経験をさせてもらいました。
それも、中京テレビ“だからこそ”の若手に裁量・チャンスが舞い込みやすい風土によるものだと思います。

取材先が1つ増えるごとに家族が増える気分です。

― “脱テレビ時代”における
  『エポックメイキング精神』

「テレビ離れ」という言葉が一般化し始めてから約10年。
破壊と再生を繰り返す生々流転の激しいテレビについて、世の中でネガティブな意見が飛び交うことも少なくはありません。
しかし実際テレビの制作現場はというと、全スタッフが“未だ見たことない番組を”“世の中に爪痕を”と「テレビの未来」に「希望」を抱き、息巻いています。
逆風が吹いていると思われがちなテレビですが、実際TVerに端を発し、各配信環境が整っていくと共に、コンテンツの価値は上がっています。
僕自身もテレビという“マス”メディアで働くことを決めた以上、何か世の中に影響を与える、時代の最先端をいきたいという精神は曲がりなりにも捨てずに過ごしています。
そして制作費削減など各記事で謳われる中、わが中京テレビでは月1回の企画募集を実施し、今まで以上に番組制作力の強化に勤しんでいます。
まだ5年目という青二才な僕ではありますが、有難いことに多くの機会をいただき、今までに4本の番組を企画・演出で制作させてもらいました。
全てに思い入れがあり、思い出をあげれば枚挙にいとまがないのですが、特にテレビ局に入ってよかったと思える、2番組の思い出を以下に記します。

― 5年目に全国レギュラーの総合演出を託す
  『会社の胆力』

2024年4月に「お笑い4コマパーティーロロロロ」が、次世代スターのマユリカさんをMCに据え、全国でレギュラー放送を開始しました。
「4人1組」をモットーに、“お笑い”と“ゲーム”を掛け合わせたバラエティで、前年夏ごろに4年目の僕が提出した企画が原案となっているものでした。
当初はローカル特番で2週放送という予定でしたが、急遽方向転換で全国レギュラー化が決定。
これまた責任あるプロジェクトの1つでしたが、制作歴わずか5年の僕が演出として立つことに対して諸先輩方からかけられた言葉は「チャンスだな!世界観作って頑張れよ!」「みんなサポートするから!」という心強い前向きなものばかりでした。
チーム力が試される番組制作において、“この会社で本当によかったな”と感じた瞬間でした。

マユリカさんの全国初レギュラーを企画できたのは一生忘れられない思い出です

― ニホンザルがMC?
  『おもしろいじゃん』

2024年10月に中京圏でひっそりと放送した「人間研究所」。
いつも人間に見られて笑われてばかりの動物たちが、逆に理解できない人間(ホモサピエンス)の習性を研究して笑ってやろうというコンセプトで企画した逆転のアニマルバラエティです。
MC兼 研究所所長はニホンザル。(声:ロバート秋山さん)
研究員としてブルドッグ(声:伊集院光さん)とオウム(声:ロングコートダディ堂前さん)

番組MC:ニホンザル
番組MCの奥に研究員:ブルドック、オウム

入社時からずっと実現させたかったアイデアではあるのですが、こんなにどうなるかわからない実験的な企画を通してくれたのは驚きと共に嬉しい気持ちでいっぱいでした。
そして放送後、いわば「トガってる」と怒られてしまいそうな「人間研究所」に対して若手だけでなく、還暦を超えた大先輩方も「声出して笑ったよ!面白かった」と声をかけてくれる“年次問わず挑戦心を忘れない”環境に改めてありがたみを感じました。

― 放送業界を目指す
  『あなたへ』

月並みですが、テレビはあらゆる人に多くのプラスを与えると思っています。
僕は幼い頃、テレビに“笑顔”をもらい救われました。
他にも“共感”“温かみ”といった様々な感情を毎秒生み出し続けているテレビは、もはやコンテンツという域を超えた美しい“文化”だと個人的に思います。
そんな1953年から始まった“文化”を、伝統という一言であきらめて棄却するのではなく、ともに若者の感覚でアップデートしていき、更に価値あるモノへと昇華していきましょう。
周りの他業種友人の話を聞いていても、こんなに素敵でやりがいのある素晴らしい仕事はないと強く思います。
ぜひ一緒にテレビを使って“遊び”、日本中をワクワクさせましょう。

読売テレビ放送さんとの共作「終わりが始まり」で第49回放送文化基金賞エンターテインメント部門最優秀賞受賞

プロフィール

愛知県岡崎市出身、経済学部卒。

2020年
中京テレビ放送入社。
2021年
「オモウマい店」AD
「本日の狂演者。」 初企画・演出作
2022年
「オモウマい店」ディレクター
2023年
「終わりが始まり」ディレクター
2024年
「お笑い4コマパーティーロロロロ」企画・演出
「SAKURA GRADUATIONの清算てれび」企画・演出
「人間研究所~かわいいホモサピ大集合‼」企画・演出
「フットンダ王決定戦2025」総合演出