TBSテレビ
ARプラットフォームアプリ「vReal」

今回、放送局が関わる最新テクノロジーをご紹介いただくのは・・・
TBSテレビ メディアビジネス局ライセンス事業部 木村 健二(きむら・けんじ)さん

理工学部情報工学科卒業 大学院理工学研究科開放環境科学専攻 修士課程修了
2006年TBSテレビ入社。技術局CG部に配属され、連続ドラマの3DCG制作やVFX(※)を担当する。その後は歌番組やニュース番組などのグラフィックデザイン、テレビ放送以外ではプロジェクションマッピング制作のほか、連続ドラマから派生した舞台のCG映像制作の責任者を務める。現在の部署では、放送以外の新しい収益を生み出す新規事業の立案・実行を行う。最近では、マルチアングル配信技術や音声認識AIを利用した文字起こしエンジンなど、TBSの技術セクションが開発した技術の対外販売、ソリューション展開を担当。

※VFX:ビジュアル・エフェクツの略。CG合成など、実写映像に映像効果を追加する技術

木村 健二

木村 健二さん

TBSテレビが新たな試みとしてリリースしたARプラットフォームアプリ「vReal」をご紹介します。このアプリは、新規事業として開発したもので、最終的には外部の会社にも利用していただくことで放送外の利益を生み出すことを目指しています。

2021.5.24 mon

「AR」は、カメラを通して映し出された現実世界の映像の上に、CGキャラクターを表示できる技術です。キャラクターが立体的に空間に配置されるため、カメラを動かすことで、キャラクターを自分の好きな角度から見ることができます。

vRealは、3DCGキャラクターだけでなく、最新技術である『ボリュメトリックビデオ』と呼ばれる、特殊なスタジオで撮影された人物等の3D動画データも扱えることが大きな特徴です。

私は、本施策のビジネススキームを考え、アプリの大まかな仕様を決めました。過去にデザインの経験があったので、ロゴやアプリの大まかなコンセプトは自分でデザインしました。開発会社と仕様の認識にズレが起きるなどの苦労もありましたが、開発会社のご協力もあり、無事形になりました。

vRealを使って人物の ボリュメトリックビデオを表示した例。等身大で表示させたり、手の上に乗せたりできます。

vRealを使って人物の ボリュメトリックビデオを表示した例。
等身大で表示させたり、手の上に乗せたりできます。

vRealを使って人物の ボリュメトリックビデオを表示した例。
等身大で表示させたり、手の上に乗せたりできます。

「ボリュメトリックビデオ」とは?

ボリュメトリックビデオとは、人物等の対象そのものを連続的な動画としてキャプチャした3Dデータです。複数台のカメラで囲まれた特殊なスタジオで撮影します。今までの人物の3Dキャプチャ技術では、スタジオで撮影しても「人物のリアルな3DCG」を復元するイメージでした。一方、ボリュメトリックビデオは点群データの集合体で「人物そのものの3D映像」に近く、今まで以上に高精細な映像を表示することができます。

ダンサーのボリュメトリックビデオをスタジオで撮影した様子。

ダンサーのボリュメトリックビデオをスタジオで撮影した様子。

ダンサーのボリュメトリックビデオをスタジオで撮影した様子。

ダンサーのボリュメトリックビデオをvRealで表示した例。

ダンサーのボリュメトリックビデオをvRealで表示した例。

ダンサーのボリュメトリックビデオをvRealで表示した例。

ミニチュアにしたり、普通のカメラでは入り込めないところまで見られたりと、ボリュメトリックビデオのすごさを体感できます。自分の家の玄関やキッチン、自分が座っているソファーの隣など、好きな場所に出して、好きな角度から眺められます。普通のカメラ映像では得られない体験です。

以下のページに、vRealの紹介もありますので、こちらも見てみて下さいね。
vReal HP: https://www.tbs.co.jp/vreal/

「CDTV ライブ!ライブ!4時間スペシャル」での放送連動

2021年3月29日の『CDTV ライブ!ライブ!4時間スペシャル』で、vRealを使用しました。乃木坂46の四期生メンバーのボリュメトリックビデオを撮影し、放送前にコンテンツを配信しました。実際にボリュメトリックビデオを再生できるタイミングはアプリ側で制御し、放送開始後から再生できるように運用しました。

番組内では、サブMCのお笑いコンビEXITにもvRealを使っていただき、アプリの映像も放送しました。ボリュメトリックビデオは映像と共に、撮影現場で収録した音声も再生できるので、実際に声をかけられたような演出が可能です。SNSでも、視聴者の皆様から大変好評で、楽しんでいただけたと思います。

「vReal」の展開イメージ

まずは「CDTV ライブ!ライブ!」のように番組O.A.と連動した演出として使用を目指していきます。ARの表示開始・終了時間を設定し、O.A.時間に限定したコンテンツ配信も可能なので、番組を盛り上げる施策として利用していきます。

また、vRealは、TBSテレビ以外の会社にも使っていただきたいと思っています。vRealにはAR表示と共に記念撮影できる機能があります。その撮影データにロゴや広告バナーを表示できるので、製品やイベントのプロモーションとして利用できます。利用者が好きな場所で3Dの演者と撮影した画像をSNSで拡散することが可能です。

スタジオにあるカメラやマイクと違い、vRealはみなさんのスマートフォンで今すぐ体感できる放送局のテクノロジーです。ぜひみなさんも実際にvRealをDLして触ってみてください!

まずは実際にvRealをDLして触ってみてください。

まずは実際にvRealをDLして触ってみてください。

まずは実際にvRealをDLして触ってみてください。 まずは実際にvRealをDLして触ってみてください。

まずは実際にvRealをDLして触ってみてください。

まずは実際にvRealをDLして触ってみてください。

<「MINPO.WORK」中の人からのQ&A>

今回、「vReal」をご紹介いただいた木村さんに、みなさんに代わって「MINPO.WORK」中の人が気になることを聞いてみました!

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q1 学生時代はどのようなことに取り組まれていましたか?

木村 健二

木村 健二さん

中学からテニスを続けており、大学でもテニスサークルに入りました。団体戦や個人戦などに参戦し、在学中もテニス熱が高かったです。今でも何気に、TBSのテニス部長をやっています。学業においては、映像に関する研究を行っていました。

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q2 学生時代に放送局を受けようと思ったきっかけはなんですか?

木村 健二

木村 健二さん

映像に関する研究室に入っていたことが大きなきっかけです。最初は漠然と映像機器メーカー等に研究職として就職すると思っていましたが、就職活動のなかでテレビ局という選択肢も出てきて、研究より実際にものを作る仕事が面白そうだと思い、今に至ります。

MINPO.WORK

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Q3 学生のみなさんにエールやメッセージをお願いします!

木村 健二

木村 健二さん

最近はテレビを見ず、Youtubeばかり見ている学生さんも多いかもしれません。でも、テレビ局は、テレビ以外のコンテンツ、新しいビジネスを作ることができます。簡単なことではないですが、テレビ局の経験をもとに、時代にあわせて、形を変えて、新しいものを産み出せば良いと思います。新しい時代を生きている皆さんと一緒に考えられれば、また1つ新しいビジネスを産み出せるかもしれません。

テレビに関わるような経験がなくても、そして理系・文系関係なく、新しい道を切り開いていくといいと思います。テレビ業界に興味があれば、ぜひチャレンジしてみて下さいね。

MINPO.WORK

MINPO.WORK

ご回答いただき、ありがとうございました!