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テレビ朝日
Qさま!!で活用「番組Tweetリアルタイム連動システム:TwiBro(ツイブロ)」
今回、放送局が関わる最新テクノロジーをご紹介いただくのは・・・
テレビ朝日株式会社 技術局コーポレートデザインセンター 兼 IoTv局IoTvセンター 小林宏嗣(こばやし・あつし)さん
大学院理工学研究科卒。2003年テレビ朝日入社。テロップシステム開発、ドラマ・映画VFX(※)、番組などのオープニングタイトルデザイン、夏祭りイベントでの体験型コンテンツの企画、制作、アートディレクションに携わる。2018年よりアメリカ・ロサンゼルスの企業でプロダクション業務にあたる。のち帰国、現職。
※VFX:ビジュアル・エフェクツの略。CG合成など、実写映像に映像効果を追加する技術
はじめまして!今回はテレビ朝日が開発した番組Tweetリアルタイム連動システム「TwiBro(ツイブロ)」をご紹介します。
Twitterを使って、視聴者がテレビ番組の企画に簡単に参加できるような施策に取り組んでいます。
「TwiBro」とは?
リアルタイム・全量のツイートデータをもとに、指定したハッシュタグを含むツイートを集計してグラフを生成し、テロップやCGを用いてリアルタイムに放送画面上に表示するシステムです。
TwiBro(ツイブロ)の仕組み
TwiBro(ツイブロ)の仕組み
視聴者はTwitterでクイズに参加し、その結果がリアルタイムに放送画面に表示されます。
簡単にツイートしてもらえるように、Twitterのカンバセーショナルカード(ツイート上のハッシュタグ入りアクションボタン、下図参照)を利用しています。視聴者は自分でハッシュタグを入力しなくても、選択肢を選ぶだけでハッシュタグ付きツイートができます。
開発した理由・経緯
開発した理由をひとことで言うと、番組をリアルタイムでたくさんの人に見てもらうためです。番組を見ていない人に番組を知ってもらい、そして見てもらうためには、SNSの活用が有効だと考えています。例えば、Twitter上で話題になりトレンド入りすれば、それを見た人がリアルタイムで番組を見てくれる可能性が高まります。Twitterなら若年層にも効率的にアプローチできます。テレビ局として視聴者とのタッチポイントを作りたいという想いがあります。テレビとインターネットは本来親和性があるはずなのに、これまではリモコンのdボタンしかなく、ハード面の隔たりがありました。それを解決するためにTwitterを利用するのは自然な流れでした。かねてよりアイデアは持っていましたが、自分がIoTV局と兼務になった2020年以降、同局IoTvセンターの原田裕生さんと連携して開発しました。
原田裕生(左)IoTv局IoTvセンター
小林宏嗣(右)技術局コーポレートデザインセンター 兼 IoTv局IoTvセンター
企画をやると万単位で番組のフォロワーが増えました。フォローしてもらえると次回の放送予定などの情報を届けられるので、フォロワーが番組の資産となり、長期的なメリットにもつながっています。
ハッシュタグトレンド(2020年12月14日)
「#Qさまアニマル」が世界トレンド1位を獲得!選択肢の「オコジョ」も9位にランクイン。
リアルタイム集計での不測の事態にも対応
危機管理には意識して取り組んでいます。オンエア前に念入りにテストを行い、当日も不測の事態に備えて、現場でスタンバイしています。
不測の事態を想定して、「①件数と比率を出す」「②比率だけ出す」「③お断りテロップを出す」のような複数の表示パターンを準備しています。正常時は①、通信障害など何かしらのトラブルで件数が少なすぎる場合は②、大規模トラブルの場合は③、というようにリアルタイムで切り替えられるようにしています。また、番組公式Twitterでは番組の進行を見ながら、手動でツイートを投稿しています。トラブルが発生した場合に投稿する内容も予め決めてあります。
周囲の反応と今後
番組公式アカウントのフォロワーが増えるなど、目に見える結果が出ているので、社内ではさらに新しいことにチャレンジしようという雰囲気になっています。SNSを活用することで、「番組が話題になる」「テレビが話題の発信源になる」といった新たな目的意識が制作サイドに生まれていることも非常に良い傾向だと思います。他の番組でも、「声優パーク建設計画VR部」の特別枠として生放送を行い、その中の視聴者参加クイズでも利用しました。生放送だったので、当日はかなりバタバタしましたが、なんとか乗り切りました。
今後も、視聴者と双方向のバラエティ番組を作りたいです。スポーツや音楽番組などの生放送番組との相性も良いので、今後取り組んでいきたいです。また、放送だけでなく、イベントでも利用できると思っています。コロナ禍でイベントのオンライン配信が増えている中、生配信でトレンド入りして注目を集めて、アーカイブ配信のチケットを買ってもらうような流れを作れると理想的です。
クイズプレゼンバラエティー Qさま!!【毎週月曜21時~】
番組公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/qsama/
番組公式Twitter:https://twitter.com/tvasahi_qsama
声優パーク建設計画VR部【毎週日曜23時55分~】
番組公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/vr_roppongi/
番組公式Twitter:https://twitter.com/Seiyu_VR
<「MINPO.WORK」中の人からのQ&A>
今回「TwiBro(ツイブロ)」をご紹介いただいた小林さんに、みなさんに代わって「MINPO.WORK」中の人が気になることを聞いてみました!
Q1 学生時代はどのようなことに取り組まれていましたか?
現在も仕事でCG制作やグラフィックデザインを行っているのですが、そのような仕事に就くために休み期間を利用してアメリカ・ロサンゼルスでのカンファレンスに参加したり、運営のお手伝いをやっていました。
Q2 放送局を志望したきっかけは何ですか?
自分の手掛けた仕事をたくさんの人に見てもらえるからです。国内、海外を問わず映像制作の仕事を考え始めたのは中学生の頃からです。就職活動のための活動はあまりしなかったです。どのような映像を作りたいかを常に考え、イベントで映像を制作したり、コンペに参加したり、必要なスキルをその都度身に付けていきました。
Q3 学生のみなさんへメッセージをお願いします!
今、テレビ局は放送だけでなく、様々な事業に取り組んでいます。自分の強みを発揮できる部署に軸足を置きつつ、イベントや都市開発など、社内外の横断的なプロジェクトに参加することも多いです。若手であってもアイデアが取り入れられて実現に結び付くことも比較的多いと思います。「テレビ=放送」にとらわれず、幅広い視野で見てもらえればと思います。