フジテレビジョン
~いち早く被災映像を報道する~
災害情報カメラ収録システム「TOREZO」

災害情報カメラ収録システム「TOREZO」

今回、放送局が関わる最新テクノロジーをご紹介いただくのは・・・
株式会社フジテレビジョン
技術局技術戦略部 兼 ニュース総局LIVE STUDIOメディア・ソリューション部 兼 業務推進部
鈴木健司(すずき・たけし)さん

情報科学部デジタルメディア学科卒業 大学院 情報科学研究科 修士課程修了。
2007年(株)フジテレビジョン入社。報道技術部門に配属後、ニュース番組の制作・システム開発に携わる。2016年鬼怒川決壊「濁流に呑み込まれる家族」のスクープ映像で新聞協会賞(写真・映像部門)を受賞。現在所属する技術局 技術戦略部では、新しいテクノロジーの開発推進や、放送設備の導入計画の検討を担当。

鈴木 健司

鈴木 健司さん

今回は、私が開発した災害情報カメラ収録システム「TOREZO(トレゾ)」をご紹介します。
テレビ視聴者を守るための、災害報道の最先端システムです。

2023.03.31 fri

【TOREZO(トレゾ)とは?】

みなさん地震発生後、ニュース速報として、このような情報カメラが揺れる映像を見たことありませんか?

TOREZOは、全国にある情報カメラから、このように地震の揺れの映像をすぐに放送することができるシステムです。震源地の情報から、情報カメラの設置場所の揺れる時間を計算し、揺れている映像を自動で切り出しています。地震発生後、切り出された映像は即座に報道スタジオで、ニュース素材としてオンエアされます。

発災時のオンエア映像

発災時のオンエア映像

フジテレビ系列では全国で200台以上の情報カメラが稼働しています。このカメラ映像を日本全国からクラウドに集めて24時間収録をしています。その映像を生中継で使ったり、過去の映像を再生して使ったりできるシステムです。地震だけでなく、全国で起きた災害、例えば火山の噴火や、台風などを監視し、即座に放送することが可能です。このシステムはフジテレビだけでは無く、全てのフジテレビ系列局で使うことができます。

撮って蔵(おさめる)システムと言う意味でTOREZO(トレゾ)と名付けました!

TOREZOシステム(概要図・操作端末)

TOREZOシステム(概要図・操作端末)

【TOREZOを作った理由】

報道番組を担当して以来、現場の映像をどうやったら、視聴者にいち早く伝えられるかを考える日々でした。その中の一つとして、地震発生時の被災地の状況をどうやって伝えるかと言う課題がありました。今までは情報カメラの映像を系列局間で人が映像伝送したり、地震の状況を人が判断して編集したりしていたので、放送までとても時間が掛かっていたのです。そこで、フジテレビ系列局で連携し、どのようなシステムにするのが良いか、意見を出し合い、クラウドWebRTCSRTリアルタイム震度情報などの最先端の技術を生かして、人を介さず自動的に映像送出できるシステムを開発しました。今まで準備に数分かかっていた地震による揺れ映像も即座に放送できるようになっています!このシステムは社外でも評価され、2021年日本民間放送連盟賞「技術部門」で最優秀賞を受賞することができました。

技術者もしっかりと評価してもらえます

技術者もしっかりと評価してもらえます

【TOREZOの活用例】

TOREZOでは日本全国の情報カメラをリアルタイムで見ることができます。その機能を生かし、24年ぶりに起こった皆既月食の様子を日本全国のカメラで撮影し、インターネット上でライブ配信しました。とても好評で同時接続数8.6万人、再生回数589万視聴(2023年3月現在)の大記録を達成しました。大物Youtuberでも中々、達成できない数字です!

皆既月食の中継配信

<Q&A>

鈴木さんに、みなさんに代わって「MINPO.WORK」中の人が気になることを聞いてみました!

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q1 学生時代はどのようなことに取り組まれていましたか?

鈴木 健司

鈴木 健司さん

大学では研究室に籠ってリアルタイムCGの研究を行っていました。その研究成果を生かして、教授が設立したベンチャー企業でお手伝いしていたのですが、新しい技術を通して社会に繋げて行く楽しさを学ばせてもらいました。

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q2 放送局を志望したきっかけは何ですか?

鈴木 健司

鈴木 健司さん

もともとITの分野が得意だったのですが、ITとテレビ局の影響力をかけ合わせたら面白い世界が広がるんじゃないかと思い始めたのがきっかけでした。また、放送局では自分の技術力で何百万もの人に影響を与えることができる点にも魅力をとても感じました。

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q3 学生のみなさんにエールやメッセージをお願いします!

鈴木 健司

鈴木 健司さん

現在のテレビ業界は変革期で、様々な新しいことにチャレンジができる環境があります。ジャンルに限らず、少しでも放送局に興味があるのであれば、ぜひ飛び込んでみて下さい。自分の作った映像を通じて、何百万人もの視聴者を喜ばせたり、驚かせたりしてみませんか?ぜひ一緒に放送業界で面白い番組を作って行きましょう!

MINPO.WORK

MINPO.WORK

ご回答いただき、ありがとうございました!

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