民放の最新テクノロジー

テレビ東京
グリーンバックからインドへ!?
クロマキー合成から大きく進歩した最新の制作手法
「バーチャルプロダクション」

クロマキー合成から大きく進歩した最新の制作手法「バーチャルプロダクション」

今回、放送局が関わる最新テクノロジーをご紹介いただくのは・・・
テレビ東京ホールディングス テック戦略局テックラボ 兼 テレビ東京 技術局コンテンツ技術センター 井原梓(いはら・あずさ)さん

芸術工学部芸術情報設計学科卒業。2018年テレビ東京に入社し、配信ビジネスセンターで番組の二次展開業務に従事した後、2022年にコンテンツ技術センターへ異動しカメラを担当。現在所属する部署では次世代スタジオ準備チーム、技術戦略チーム、技術開発チームに参加し、次世代のスタジオ構築などを担当。

テレビ東京ホールディングス テック戦略局テックラボ 兼 テレビ東京 技術局コンテンツ技術センター 宮澤真子(みやざわ・まこ)さん

理工学部 数物・電子情報系学科卒業。2020年テレビ東京に入社し、コンテンツ技術センターにてVE(ビデオエンジニア)としてスタジオ番組・中継業務を担当。現在所属する部署では次世代スタジオ準備チーム、技術戦略チーム、技術開発チームに参加し、次世代のスタジオ構築などを担当。

宮澤真子

宮澤真子さん

皆さん「バーチャルプロダクション」って言葉、聞いたことがありますか?

井原梓

井原梓さん

今、映像業界ではこの「バーチャルプロダクション」が国内外問わず、かなり話題になっています!

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2023.07.12 wed

バーチャルプロダクションとは

バーチャルプロダクションとは、大型LEDディスプレイやグリーンバックなどを背景とし、カメラの動きと連動した3DCGをリアルタイムに合成することで、スタジオにいながらあたかも様々なロケ地にいるかのような表現や、より魅力的な空間演出が可能となる制作手法のことをいいます。

宮澤真子

宮澤真子さん

この技術により、豪華な美術セットは持たない?持てない?(笑)番組が多いテレビ東京で、革命がおきています!

グリーンバックで出来るバーチャルプロダクション

従来グリーンバックは、「クロマキー合成(撮影した映像から特定の色の部分だけを抜いて、別の映像と合成する)」という撮影技術で活用されてきました。

これに対しバーチャルプロダクションは、カメラの動きと連動した3DCGと合成させることが可能になり、リアルセットと同じような自由な撮影ができます。

今回はグリーンバックで実施したバーチャルプロダクションの例をご紹介します。

2023/4/4放送 「WBS(ワールドビジネスサテライト)」にて
「WBS(ワールドビジネスサテライト)」という経済ニュース番組で、この日はインドを特集した企画を放送しました。
実際のスタジオにはグリーンバックとイス、絨毯があるのみ。

実際のスタジオにはグリーンバックとイス、絨毯があるのみ

ですが、カメラで撮影している映像に、ゲーム制作でもよく使われている「UnrealEngine」という3DCGソフトで制作した映像を合成することで・・・

まるでインドにいるかのような空間に!

まるでインドにいるかのような空間に!

さらには企画に関連した大きなマップが登場したり、出演者の隣にはグラフが出現したりするという、CG盛りだくさんな演出も!

まるでインドにいるかのような空間に!

グリーンバックという昔からの制作手法に最新技術を取り入れることで、より豊かな演出を考えることができるのです!

LEDディスプレイよりも施工が容易で安価に行うことができ、大型特番のような予算が潤沢にある番組だけではなく、レギュラー番組などでも日常的に使える将来が見えてきます。

また、収録の度に行う大きなセットの建て込み・バラシの必要もなく、CGシーンを変えるだけで次の番組の収録に進めるため、時間とコストの削減になり、浮いた費用でコンテンツをもっと充実させられます!

そしてこのような新技術に率先して取り組んでいる部署が、我々も所属している「テックラボ」です 。

テックラボについて
「テクノロジーでイノベーションを起こす」を掲げ、2022年4月に発足した技術チームです。
テックラボではバーチャルプロダクション以外にも、様々な分野における新技術のR&Dと実用化を目指しています。

テックラボではこんなこともやってます!

AI顔認証

AI顔認証

AIによる顔認証は精度と通信速度が上がったことで、顔写真を1枚登録しておけば、瞬時に画面に名前のスーパーを出すことが可能に。現在、その技術をスポーツの競技中継に活かすことを考えています。

昨年は「オープンラボ会議」が立ち上がり、テレビ東京グループ全社の様々な部門から「技術を使って新しいことに挑戦したい」という意欲を持った若手社員を集め、自由な発想でテック関連のアイデアを提案できる場となりました。今年度も開催します!

気になる新技術を使った企画を立案し、メンバーの発案したアイデアを具現化する取り組みを、テックラボでサポートしています。

また、今年度からは次世代に向けたマスター構築、スタジオ設備、大きくは放送局の在り方についても考えていく部署となり、日々奮闘中です!

私たちのような若手でも最新技術に取り組むことができる風通しの良い会社なので、ぜひ皆さんもテレビ東京で一緒にイノベーションをおこしましょう!

<「MINPO.WORK」中の人からのQ&A>

宮澤さん、井原さんに、みなさんに代わって「MINPO.WORK」中の人が気になることを聞いてみました!

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q1 放送局を志望したきっかけはなんですか?

宮澤真子

宮澤真子さん

ありきたりではありますが幼い頃からテレビが好きでよく観ていて、番組制作って楽しそうだなと思っていました。特に音楽番組に携わりたいなと思っていて、放送局を志望しました。

井原梓

井原梓さん

私もただただバラエティ番組に関わりたくて、テレビ業界でしか働かない!という強い信念で就活していました(笑)。ただのテレビっ子な2人です…。

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q2 放送局の技術セクションは女性が少ないイメージですが…

宮澤真子

宮澤真子さん

確かに私も入社前はそのイメージがありましたが、最近は女性の人数も増え、働きやすくなっているのではないかなと思います。むしろ「今日の番組スタッフ、女性ばっかりだな」と思う日もあるくらいです(笑)。ちなみに、技術職の私の同期は6人中4人が女子です!

井原梓

井原梓さん

今本当に増えていますよね。我々が所属している部署のテックラボも主務の部員は計7人なのですが、そのうち3人は女性です。技術セクションも男女の隔たりは必要のない業務になってきたと常日頃から感じています。

MINPO.WORK

MINPO.WORK

Q3 学生のみなさんへメッセージをお願いします!

宮澤真子

宮澤真子さん

最近テレビ見ないな~という方もいるかもしれませんが、今やテレビ局は放送を超えたコンテンツ作りをしていて、やりがいを持って取り組める仕事がたくさんあります!今回ご紹介したバーチャルプロダクションも、映画やCMなどで多々使われており映像業界の新しい制作手法として非常に注目されています。まさに番組制作の変革期の今、私たちと一緒に新しいテレビの未来を考えませんか?すこしでも興味を持ってくれたらうれしいです。

井原梓

井原梓さん

テレビ局は、これからもっともっと形が変わっていくと思います。変わっていくべきだからこそ、若手の考えや意見も尊重してくれますし、とても働きやすい環境になっていると思います!新技術を駆使してコンテンツ制作に携われるのは純粋に面白いですよ。ぜひ一緒に働けたら嬉しいです。

MINPO.WORK

MINPO.WORK

ご回答いただき、ありがとうございました!

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